あれから35年・・・
鬼嫁は4人姉妹の末っ子だったので、
嫁に来た最初の夜には、残してきた
両親を思い、しくしくと泣いていた。
しかし現在は、まるっきり立場が逆転
してしまったのである。💦
鬼嫁は4才年下で、私が社長で彼女が専務
なのに、いつの間にか私よりエラくなり、
私を「パート社長」と呼び捨てにする。
今では、鯉太郎が無念の涙で枕を濡らす
夜もあるのだ。😥
こんにちは!そんな鯉太郎ですが・・・
「コイ料理のあらいって、どんな料理なの?」
「お刺身とは違うの?」
「どうやってつくるの?」
「地域やお店によって、つくり方、食べ方は違うのかしら?」
「コイって泥臭いイメージがあるけど、大丈夫なのかなぁ~」
「どこに行けば美味しい、あらいが食べられるの?」
「お取り寄せしてみたいけど…」
こんな思いを巡らされていらっしゃる、コイ料理を食べてみたい方必読です。
前回は「うま煮」を紹介しましたが、今回はコイの代表料理の一つである、
「あらい(洗い)」について解説しますね!
今回の記事では・・・
◆「鯉のあらい、洗い、アライ」とは、どんなコイ料理なの?
・刺身と「あらい」の違いとは?
・コイ料理「あらい」はどうやってつくるの?
・プリプリ、コリコリという「あらい」の触感のメカニズムとは?
・鯉って川魚でしょう?寄生虫の心配はないの?
・まとめ 鯉料理 美味しい「あらい」の見つけ方・・・
という質問や疑問にお答えしながら、美味しい コイ料理「あらい」の専門店を見つけるお手伝いを いたします。
美味しい「あらい」に出会ったら、きっとのタイや ヒラメのお刺身より「あらい」の方が好きになっち ゃうんじゃないでしょうか?
✔創業嘉永2年 鯉料理専門店「みやさかや」七代目
✔鯉とのお付き合い53年の自称コイ博士
✔鯉についての講話200回以上(対象/小中学生、大学ゼミ、社会人サークル、その他諸会)
✔朝・昼食抜き1日1食の20時間ダイエット進行中(12ヶ月で12キロ減量達成74kg→62kg)
✔天敵は鬼嫁(鯉太郎をパート社長と呼ぶ、みやさかやの陰の社長)
✔食べ歩き、自らを饕餮(なんでも食べちゃう中国の妖怪)と称する食いしん坊
✔一人旅大好き!国内・海外旅行(35ヶ国漫遊)
✔釣りバカ(海釣り)、囲碁好き、読書(週3冊の活字中毒)、サウナ依存症
✔座右の銘「継続は力なり」ってことで、毎晩お酒飲んでます・・・😅
引用元:饕餮 – Wikipedia
鯉太郎って誰だ?って方は・・・
創業175年老舗「みやさかや」の七代目をクリック!
「コイのあらい」とは、どんな鯉料理なのか?
日本でコイ料理といえば、前回紹介した「うま煮(甘煮)」の他に、「鯉こく」と、そして今回紹介する「鯉のあらい(洗い)」の3品が代表選手です。
ご存じでしたか?
さて、このコイの「あらい」ですが、薄切りにしたコイの刺身を温水や、氷水で洗うようにさらし、適度に脂肪分を落とし、その後冷水にて〆た料理を指します。
文字通り洗うような調理工程があることから、「あらい」と名付けられました。
刺身と「あらい」の違い
対して「刺身=お造り」は、新鮮な魚介類を生のまま引いて提供する料理で、「あらい」も刺身の一種となります。
異なるのは、一旦刺身にした切身を前述のように温水や、氷水で洗うようにさらすこと。
コイは見た目より脂が多い魚です。
活きたコイをさばいて刺身で食すると、まだ死後硬直が始まっていないためクニュクニュとした柔らかな食感で、脂肪分をかなり感じます。
このコイの刺身も美味しいのですが、少し脂がしつこい感じがするので、この脂を適度に落とし、プリプリ、コリコリという食感と、淡泊な旨味と甘みを味あうために「あらい」にするのです。
もう一点「あらい」の場合は、必ず活きている魚を使うということです。
もしくは、百歩譲って、活き締めした魚で、まだ死後硬直が始まっていないものというのが絶対条件!
詳しいことが知りたい皆さんには、この後「鯉のあらいを科学する」☚で解説いたします。
死後硬直 引用元:海洋環境学研究室(大塚研・黒田研)/大阪府立大学
コイ料理「美味しいあらい」のつくり方とは?
①畜養池で2週間以上締めた活コイを用意し、脳天を出刃包丁の背で叩き気絶させて頭を落とす。
締めるってどういうこと?☚ここをクリック
コイの「あらい」には、大きめのものより、1.2~1.3kgの中型のコイが適しています。
あまり大きなコイになると、小骨が硬く大味になり、一切れも大きくなり一口で食べるのに適しません。
②あらいは調理の素早さを要するため、うろこを付けたままで3枚卸しにし、腹骨を取ってから皮を引きフィレにする。
ただし、うろこを調理して食べる場合や、コイの薄皮を湯引きし食べる場合は、うろこをすき引きにする。
引用元:梳き引きとは – コトバンク (kotobank.jp)
引用元:梳き引きで魚のウロコを引く (temaeitamae.jp)
③フィレを手早く、向こうが透けるくらいの厚さに、ムラなくそぎ切りにする。
この時に「チリ、チリ」という音がすれば、骨が切れている証拠で、口当たりがよくなる。
コイの小骨は先がY字、2又に分かれている
薄め目にそぎ切ると切身の表面積が大きくなり、うま味が感じやすくなります。
かといって、薄すぎると食べ応えがなくなりますし、厚すぎると骨が当たってしまうので、絶妙な厚さに仕上げる必要が…
このように「あらい」は、このそぎ切りで味が決まってしまうように、非常に高度で繊細な感覚の職人技が求められるコイ料理なのです。
みやさかやの熟練の職人によるそぎ切り
④そぎ切りされた造りをザルなどに入れ、冷水や氷水、または温水に放ち、身がきゅっと締まり、若干白くなったらザルを上げ、しっかり水をきる。
冷水や氷水で洗う場合は、これで完成となります。
東日本のコイ料理専門店では、温水を使う湯洗いが多い
当店では42~45℃くらいのぬるま湯で、さっと洗い(湯がき)ます。
季節や、コイが持っている脂肪分で、温度を微調整しますが、この温度管理と湯洗いの時間の微調整も職人技なのです。
関西から九州地区では、氷水や冷水で洗う方が主流。
これはコイの育て方(エサの違い)と、飼育されている養殖池と畜養池の水温の違いによる、脂肪含有率の違いなのでしょう。
(一般的に西日本より、気温や水温が低い東日本のコイの方が脂肪分を蓄えようとするからです。)
うま煮のように濃厚な味で、内臓ごと食べる料理は、脂が乗ったコイが好まれます。
しかし「あらい」は、あまり脂肪が多いと舌に脂が残り、すっきりした後味になりません。
そこで冷水ではなく湯洗いで適度に脂を落とします。
逆に西日本から九州地区では、「あらい」がコイ料理の主流のため、東日本で育てられるコイより、脂の乗りが薄いコイを使うのです。
脂を落とす量が少なくて済むため、冷水で洗う調理法になったのでしょう。
⑤湯洗いの場合は、④の後ザルごと地下水などの流水(水温は12℃くらいがベスト)、カルキを抜いた水道水や氷水でさらす。 水道水はNG!
ザルでしっかり水を切り、場合によってはキッチンペーパーか、吸水ペーパーで水分を取って出来上がり。
コイの「あらい」は、1匹で60~80枚つくれ、一度に1~3匹分調理します。
この枚数を一度にさらすには、氷水だと温度にムラが出てしまうので、仕上がりが均一になりません。
そこでいっきに地下水をかけ流しでさらした方が、ずっと美味しくなるのです。
「あらい」をさらす地下水の水温は、ぬるくても冷たすぎてもダメ、12℃前後がベストといえます。
⑥コイのそぎ身を洗う地下水は、硬度60~100mgの軟水がおすすめ!
皆さん、私たちが日ごろ使用している水ですが、2種類に分類されることを知っていますか?
軟水と硬水です、詳しくはここをクリック→硬度
「あらい」における魚をあらう目的は、魚の臭いや不純物を取り除くこと。
軟水は硬度が低く、ミネラルや不純物の含有量が比較的少ないため、魚の「あらい」に適しています。
軟水を使用することで、魚の臭いや不純物を効果的に洗い流すことができるのです。
一方、硬水は硬度が高く、マグネシウムやカルシウムなどのミネラル分を多く含むため、独特の苦みが繊細なコイの風味を邪魔してしまいます。
長野県は全国でも有数のコイ消費地ですが、特に佐久地方の浅間山系の水道水は、日本の平均硬度が56~60mgに対し、250mg以上もあり世界的にも珍しい高さです。
もちろん佐久地方でも「コイのあらい」は食されますが、日頃軟水で洗ったコイを食べてる者にとっては、若干の苦みが感じられるのは、この硬度のせいかもしれません。
しかしながら硬水は肉の臭みを抑え、アクが取りやすくなるという利点があるため、煮込み料理との相性が良く、コイのうま煮などに適しています。
佐久地方でのコイ料理のメインがうま煮やコイこくである、というのもうなずけます。
引用元:くらしと水「軟水、硬水、炭酸水」 水大事典 サントリーのエコ活 サントリー (suntory.co.jp)
希代の美食家である北大路魯山人は、コイやフナのあらいが好物でした。
著書「魯山人味道」における「洗いづくりの世界」の項で、あらいをつくるには、井戸水に限ると言っておられます。
近ごろでは洗いづくりをするのに、 氷水を使うのが当り前となっているようだが、 これはなるべく避けたいものと思う。
わずかの氷水でやられるために、同じ洗うにも せせこましくて、且つ出来上がりも清麗でない。
この洗いづくりは、なんと言っても井戸の水が 一等である。
井戸の水さえ良質であれば、まず井戸水にかぎる と言っても過言ではない。
次から次へ、だあだあと出る水をもって、 大調子な構えでもって拵える。
参考元:農林水産省「ストーリー」
引用元:「魯山人味道」中公文庫、中央公論社
美味しい「コイあらい」は、どこで食べられるのか?
現在コイを養殖しているところは、下記の通り8地域で、大まかに分けて4つの養殖方法があります。
ため池養殖/山形県、福島県、群馬県
あみイケス養殖/茨城県の霞ヶ浦や鹿児島県の池田湖
水田養殖/長野県佐久市
流水養殖/福岡県や長野(筑後川や千曲川から引水)
これらの地域に行けば、必ず「コイのあらい」は食べられるでしょう。
前述「コイのあらい」のつくり方で述べたように、地域や養殖方法によっても調理方法や味が若干変わります。
@西日本では・・・
前号の美味しい鯉料理「うま煮」の深掘り解説で述べたように、西日本でのコイ料理の一番人気は「コイのあらい」です。
九州では、流しそうめんと、コイのあらい、鯉こくのセットが定番の人気料理です。
また関西で鯉料理といえば、あらいや刺身などお造りが中心!
2013年に「和食(日本人の伝統的な食文化)」がユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産に登録されました。
その和食を代表する料理が、京料理ではないでしょうか。
長い歴史と四季折々の豊かな自然の中で形成、洗練されてきた京料理は、和食の五体系(大饗料理、精進料理、本膳料理、懐石料理、お番菜)を総合されたものです。
「だし」を基本とする伝統技術に裏付けられた調理法によって創作される料理です。
それを盛りつけ、配膳し、しつらえの中でもてなす伝統文化に根ざした総合的な技能が京料理なのです。
それら京料理のお造りの代表格が「コイのあらい」!
そのむかし京都は、海から遠いため若狭、伊勢、淡路など、御食国(みけつくに)と呼ばれる地域から運ばれた塩干物しか手に入りませんでした。
引用元:京都料理|京都文化のご紹介|京都宇治土産.com (ujimiyage.com)宇治商工会議所
その代わりに、京都には多くの川が流れています。
代表的な川が、鴨川、桂川、宇治川、保津川、淀川・・・
加えて琵琶湖も近くにあったことから、川魚含め淡水魚が昔から豊富に獲れる地域でした。
京都といえば、海水魚ではなく、川魚料理が京料理の系譜として発展してきたのです。
京料理のお造りの頂点に立つのがコイ料理、特に「コイのあらい」といっても過言ではありません。
京都の「草喰なかひがし」さんや、前述の「美山荘」さんなどのミシュラン2星の料亭や旅館では、お造りはコイがメインの時が多いのです。
他にも京都の蕎麦、うなぎの名店では、コイのあらいを名脇役、一品料理としているところが多いのをご存じでしたか?
引用元:京都でおすすめのレストラン(鯉洗い)をご紹介! | 食べログ (tabelog.com)
画像引用元:料理写真 : 草喰 なかひがし -日本料理 | 食べログ (tabelog.com)
琵琶湖近辺の近江八幡でも、コイは元より琵琶湖で獲れるニゴイやフナ、そしてナマズなどの湖魚の刺身や「あらい」をご馳走の一品として食べています。
画像引用元:フナの子まぶし(ふな子まぶし)滋賀県・琵琶湖の郷土料理 – 京都のお墨付き! (osumituki.com)
@東日本では・・・
前号で解説しましたが、そこで我々コイ業界の人間は、コイ料理に関する嗜好の違いを「東の腹食い、西の身食い」と呼んでいます。
腹食いとは内臓も食べる「うま煮」を指し、身食いとは「あらい」を指すのです。
ただ東日本のコイ好きの方々は、「あらい」を食べないかと言えば、そうではありません。
前述の通り、西日本のコイより脂が乗ったものが好まれるため、温水で洗う(湯がく)方法でつくった「あらい」を食べます。
特に周りが海に面していない地域では、海水魚の刺身に替わるごちそうとして食べられてきました。
現在ではコイ料理専門店の数も減りましたが、それでも海から離れた山間の温泉地では、少なからず「コイのあらい」も提供されます。
昔は山間の温泉地でも、ご馳走といえば海産物!
マグロや甘えびなどの刺身が出されたようです。
しかし近年の旅館は「地産地消」に取組み、その土地で育てられた「コイのあらい」や、ヤマメ、イワナなどの川魚の刺身を提供するところが多くなりました。
最近は流通も格段と良くなったので、秘湯と呼ばれる山間の宿でも新鮮な海産物を提供できるようになりましたが・・・
読者の皆さんは「ご馳走といえば新鮮な海産物」派、それとも「地産地消の郷土料理」派、どちらですか?
@山形の秘湯で「鯉のあらい」・・・
米沢には里山から山深い秘湯まで、個性豊かな8つの温泉、24の旅館がある温泉王国です。
そのメンバーたちが、米沢八湯会を組織し、米沢の観光を元気にするため、旅人の癒しとなるサービスを提供するため、そして温泉という米沢の資産を後世に伝えるために様々な活動を行っています。
今回は、その中から「コイのあらい」が食べられる、「日本秘湯を守る会」の会員の4つの秘湯をご紹介します。
200余年14代続く秘湯の宿
標高1300mの奥深い谷間に位置する絶景露天風呂の宿
開湯七百年余。こんこんと湧き出る仙境の湯宿
最上川の源流となる火焔の滝を望む秘湯
参考元:各宿のHPより
@東京で「コイのあらい」・・・
もちろん東京でもコイの「あらい」は召し上がれます。
江戸時代に書かれた「本朝食鑑」には、浅草川(隅田川の支流、別名宮戸川)の鯉が尊ばれたとあります。
向島には平岩、中田屋(葛西太郎)、武蔵屋、大七など有名コイ料理店が存在し、「あらい」が人気料理として振舞われていました。
参考元:本朝食鑑 – Wikipedia
出典:江戸高名会亭尽 向島 – 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)
このように歴史的の「あらい」が愛されてきた土地柄ですが、現在はコイ料理の専門店はなく、多くはうなぎ屋さんやどうじょう屋さんが提供しています。
その中から鯉太郎がおじゃましたお店を紹介いたしますね。
JR赤羽駅東口 鯉とうなぎのまるます家 総本店
鯉太郎が18才の時から通っているお店で、今でも上京すると、3回に1回はおじゃましてます。
午後便で羽田や成田から海外に行く時は、午前中ここに寄って一杯やるのが鯉太郎のルーティンです。
通常は朝11時から夜21時までの営業で、コイとウナギの専門店というより居酒屋さんでしょうか?
(コロナ前は朝9時から営業でした。尚営業時間が変わっている可能性があるので、直接店舗にお問い合わせください)
一階はカウンターでコの字酒場になっており、メニューは数えたことないけど、ゆうに100品は超えは確実!
もちろん、コイあらい、コイ刺し、コイこくが食べられます。
また季節の海鮮刺身や、牛すじ煮込み、里いもから揚げ、分厚いメンチカツもお奨め!
朝飲みができることから、昔はおじさんだらけでしたが、近年は女性陣が増えました・・・
妙齢のお嬢様たちが、「美味しいぃ~」って声をあげながらコイ刺しやあらいをパクつかれているのをみると、こっちもうれしくなっちゃいます。
コロナでここ4年くらいご無沙汰だけど、女将さん元気かなぁ~
浅草 駒形どぜう
言わずと知れたどぜう鍋の老舗。
鯉太郎もどぜう鍋(丸鍋)には目がなく、特に猛暑の昼下がりに火鉢を囲み、ふぅ~ふぅ~言いながら、大汗でどじょうをつまむのがたまりません。
こちらの「さらしくじら」と「鯉のあらい」が隠れた人気メニューです。
でもお値段がちょいと高いのが残念かな?
引用元:駒形どぜう 本店 (こまかたどじょう) – 浅草(東武・都営・メトロ)/どじょう | 食べログ (tabelog.com)
帝釈天門前 川千家
こちらはフーテンの寅さんのおひざ元、葛飾柴又の帝釈天の門前あります。
帝釈天参道の一角を占めており、いわゆる大バコ、400席ある大きな店構えの、うなぎ、川魚のお店です。
ここから歩いて5分の江戸川べりにあった、老舗川魚料亭「川甚」さんが廃業なされたのがちょいと残念です。
コイ料理「あらい」を科学する!
さて、「コイのあらい」の特徴や味わいは、皆さまご存じのように、プリプリ、コリコリした独特の食感と、淡泊な旨味と甘みですよね?
このコーナーでは、どうしてそんな食感がでるか、そのメカニズムと効果についてお話させていただきます。
「コイのあらい」のメカニズムと効果
コイの造り身は、洗われることで以下の4つの効果が現れるます。
その効果と要因を解説いたしますね。
1.洗うことで、身がぷりぷりになり食感がよくなる。
コイの造り身は洗うわれることで、意図的に筋肉細胞内に含まれるATP(アデノシン三リン酸)という運動のエネルギー源となる物質が消費、流出されます。
このATPが消費されることで、強制的に死後硬直(筋肉が収縮)が始まり、身がぷりぷりにはぜるのです。
2.活きが良い刺身よりも、そしゃく中に感じるうま味、甘味が増す。
うま味が増すのは、強制的に死後硬直された「あらい」において、ATPがアデノシン二リン酸(ADP)やアデニル酸(AMP)に分解され、その後イノシン酸(IMP)と言う旨味成分に変わるからなのです。
これが俗にいう熟成です。
ちなみにこの後、イノシン(HxR)やヒポキサンチン(Hx)など、劣化成分に変化する。
画像引用元:ルミカ公式「神経締め」詳細ページ
3.表面のたんぱく質や脂質が適度に落とされることで、さっぱりした味わいになる。
魚の臭みの一つに脂が酸化して臭みが出る脂質酸化物があります。
この臭みは水に溶けやすいので、さっと洗い流すだけで取れ、淡い味になるのです。
逆に洗っていない刺身は、驚くほど、しつこいくらい脂を感じます。
4.淡水魚特有の「土臭さ」、「カビ臭さ」は、洗われることで臭いが緩和される。
魚独特の匂いの主成分は、「ピペリジン」というアンモニアにも似た特有の悪臭を持つ有機化合物です。
また淡水魚には、海水魚にはない匂い成分の「ゲオスミン」や「2-メチルイソボルネオール(2-MIB)」という物質があって、「土臭さ」「カビ臭さ」の元凶として知られています。
[淡水魚の臭い成分]
画像引用元:海水魚と淡水魚の臭い成分 ネットdeカガク/ドットアンドカンパニー(合)
この土臭物質は、本来魚が持っている成分ではなく、水中に存在する細菌などによって発生した成分です。
代表的なのは、アオコという金魚や熱帯魚を飼う水槽に発生するコケや藻類など。
またアオコは水槽だけではなく、富栄養化が進んだ池や湖沼においても発生し、そこに棲む魚の皮膚や血合い肉に濃縮され臭いの元凶となるのです。
これら土臭物質は、かなり安定的な物質で、相当な高温で調理するか、強酸を使うとかしない限り除去することができません。
しかしながら清冽な河川や地下水で畜養されたコイの場合、「ゲオスミン」臭は極わずかで、コイの造り身を洗うことで、細胞膜が壊れ、身質に含まれている臭気が流されて、臭いが緩和されるのです。
このように「あらい」というのは、臭みを抑える のではなく、洗い流して除去してしまう和食の 独自の技法なんですねぇ~
コイ料理はフランス、ドイツ、東ヨーロッパ諸国
でも食べられています。
けれど地下水などをくみ上げた畜養池で、お腹の中
をきれいにするなんてことはしません。
泥臭い、土臭いままのコイをそのまま調理します。
臭いがあれば、スパイスやソースで隠したり、
高温の油で揚げちゃえっていうのが彼らの流儀!
中国のコイ料理も一緒ですね。
「あらい」に向く向かいないはありますが、刺身
よりも食感が良く、尚且つうま味を増すことので きる調理法であり、それらの技法にはちゃんとし た科学の裏付けがあったという訳です。
京料理でも「あらい」が、至高の料理・技法の 一つとして今に残されてきたのもうなづけます よね?
「コイのあらい」の赤い身と白い身の違いとは?
コイのあらいは、部位によって赤い部分と、白い部分に分かれているはなぜか?
これはコイに限らず、赤身、白身は筋肉組織の違いによるものです。
運動量の多い部位、特に尾びれや背びれ近くの筋肉は、赤身を帯びています。
腹側の胴体部分は、筋肉があまり使われていない部位で、そのため色が白く、また味も淡白です。
また赤身魚と呼ばれるマグロやカツオの身が赤く見えるのは、筋肉色素たんぱく質のミオグロビンと血液色素たんぱく質のヘモクロビンが多く含まれているからです。
尚、ヘモクロビンは血液の中の赤血球中に存在し、酸素を各組織に運搬する働きをします。
ミオグロビンは赤色筋肉(持久力に関わる筋肉)に存在し、酸素が不足した場合に対応できるように酸素を蓄える働きをします。
赤身魚と白身魚の違い そして・・・青魚と赤魚とは??
引用元:魚食普及推進センター(一般社団法人 大日本水産会)
コイのあらいの身質が、赤みを帯びてたり、全体的に白っぽかったりする個体がいるのはなぜ?
赤みを帯びたあらいになる要因
・筑後川や千曲川から引水している流水養殖のコイ
コイが泳ぐ運動量が多いため、筋肉内のミオグロビン含有量が多くなり赤みを帯びた身質となりやすい
・養殖期間が長い(3年以上)のコイ
・メスよりオスの方が赤くなりやすい
・調理後6時間以上経つと、ミオグロビンが酸素と化合し赤みを帯びる
白っぽいあらいになる要因
・山形県、福島県などのため池養殖のコイ
・養殖期間が2年未満の若コイ
・抱卵したメス
赤みを帯びたあらいと、白っぽいあらいの味の違いはあるの?
あらいの身質が赤いか白いかよりも、個体の持つ脂質の含有量と、あらいを氷水などで洗うか、温水で湯がくかで大きく味に違いが出るのです。
しかしながら敢えて違いをいえば、白い身は筋肉があまり使われていない部位で、そのため柔らかく色が白く、見た目も相まってより淡白な味わいを楽しむことができます。
対して赤身は、白い身より歯ごたえがあり、濃厚な風味を楽しむことができます。
「コイのあらい」には、寄生虫のリスクがあるのか?
あらゆる魚には、寄生虫がいる可能性があります。
海水魚では近年、アニサキス症が多発しており、食中毒扱いになっています。
特に多い魚は、サバ、イカ、サケ、イワシ、最近ではカツオやヒラメにも多くなっているようです。
実は新鮮な魚が大好きな鯉太郎も5回ほど感染し、七転八倒の苦しみに見舞われたことがあります。💦
でもアニサキスは、胃カメラで除去してもらうと、今までの激痛が嘘のようになくなり治っちゃいます。
なのでそんなに恐い寄生虫じゃないんですが、夕食で食べちゃうと発症が夜中になるので、翌朝病院が開くまでがツライんです。
さて、コイには寄生虫がいるのでしょうか?
@コイには寄生虫はいるのか?
なぜなら安全だという根拠は、下記の4つの理由からです。
1.コイ科の淡水魚が宿主 になりやすいのが肝吸虫だが、コイに寄生する前の第1中間宿主であるマメタニシが絶滅危惧ⅠA類になって感染サイクルが狂い、結果肝吸虫症が著減した。
肝吸虫は、体長1センチほどの木の葉形をした寄生虫です。
虫卵が第1中間宿主のマメタニシに食べられ、発育した第2中間宿主のコイ科の淡水魚のウロコから侵入します。
人間・犬・猫などがその魚を食べると、胆管に入り混み成虫となり、胆管炎・肝腫大・黄疽などの症状が現れる感染症です。
確かに昭和30年代までは、野生のコイ科の魚による肝吸虫症はあったようです。
しかしながら元々「コイ科の小型漁であるモッゴ、タモロコ、ホソモロコ、タナゴには肝吸虫の寄生が多いが、大型の魚であるコイ、フナには非常に少なく、同一沼で も川でもコイはモッゴの1/100に過ぎない」という昭和42年の国立予防衛生研究所の鈴木了司氏の説もあります。
昭和40年以降になると都市開発で、マメタニシの主要な棲息環境である平野部の水田や溜池などがことごとく失われました。
結果、第1中間宿主であるマメタニシがいなくなり、肝吸虫症が激減したのです。
現在、肝吸虫の発症が認められるのは、ほとんどが中国や東南アジアで川魚を生食した患者に限られているようです。
引用元:肝吸虫 – Wikipedia
引用元:マメタニシ環境省レッドリスト 2020 補遺資料環境省
引用元:絶滅危惧とは – コトバンク (kotobank.jp)
引用元:茨城県震ケ浦及び北浦産淡水魚の肝吸虫 METACERCARIAの感染について 国立予防衛生研究所 鈴木了司
2.下水道の整備で湖沼や河川の衛生状態が良くなったため、肝吸虫ライフサイクルが崩れた。
理由は、マメタニシの絶滅状態になったところに加えて、今まで感染者の排便によって、湖沼や河川に排出されていた肝吸虫の虫卵が激減したからです。
3.過去に肝吸症が多発している地域への、「川魚を生食しない」という行政による衛生指導が浸透してきたため。
4.前述の現在コイを養殖している8地域のコイ養殖場では、マメタニシの個体は発見されていないし、当地の養殖場でコイを生食しての肝吸症や、その他寄生虫による感染症を発症したという報告はされていない。
また各養殖場では、コイに肝吸虫が感染しているかどうかの検査もおこなっているところも多いので、刺身、「あらい」とも安心してお召し上がりになれます。
しかしながら肝吸虫が寄生するマメタニシが絶滅目前といっても、野生、天然のコイには肝吸虫がいる可能性はゼロではないので生食は絶対にしないでください。
まとめ 鯉料理 美味しい「あらい」の見つけ方・・・
今回は「コイのあらい」とはどんな料理なのか、
つくり方や刺身との違い、
コリコリした独特の触感はどこから生まれるのかを解説してきました。
最後にこれまで解説してきたポイントを下記にまとめましたので、
こちらを参考にしていただければ、
美味しい「コイのあらい」が見つかるはずです!
・西日本への一大生産地である、福岡県の筑後川流域、鹿児島県の池田湖付近にある
・九州各地の渓谷・峡谷にある飲食店(鯉こく、流しそうめんのセット)
・琵琶湖近辺、京都の日本料理店やうなぎ屋さん
・生産地である茨城の県霞ケ浦、長野県佐久地方、福島県の郡山市地域、北海道の大沼公園近辺、
・関東地方や東京のうなぎやどじょうの専門店
・近辺に海がない内陸地方の山間の温泉宿
4つのポイントをチェックしてお店を探してください!
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お急ぎでない場合は、超お得なふるさと納税(ふるさとチョイス)をご利用なさっていかがでしょうか?
14,000円の寄付額で、「コイのあらい」8人前(5,600円相当/東北~関東冷蔵便利用)を購入できます。
全国でも「コイのあらい」を扱っているのは当店だけです!
あらい8人前(1P40枚入×2)真空パック入り
通信販売による「あらい」のお届けは、調理後16時間以上経過しますので、「あらい」特有のコリコリ感が、ある程度失われることをご承知おきください。
しかしながら逆に調理後時間が経過することにより、出来立ての「あらい」では味わえなかった旨みが、熟成という魔法で生まれます。
無酸素状態の真空パックやガスパックを開封すると、酸素が入り筋肉色素たんぱく質のミオグロビンが酸化するため、あらいの身質が赤くなりますが、品質や味に問題はありません。
また当商品は生もの(刺身)なので、到着日にお召し上がりいただく段取りで、ご注文いただきますようお願いいたします。
◆◇◆次回予告◆◇◆【新知見】淡水魚の絶対王者コイのすべて~その① by 創業175年老舗みやさかや七代目
◆コイの先行研究と知られざる生態
・コイの種類と世界の分布
・体の特徴と食性が意外に面白い?【知っておくと面白いかも?】
・生息環境・産卵と成長の秘密
・コイの養殖を詳しく知りたい方、必見!
◆コイが持つ機能性食品としての役割/その健康パワーとは?
・伝統的な薬用効果とは?【古くからの健康パワー】
・栄養価と豊富な脂肪酸・アミノ酸【成分を徹底分析】
・栄養価、脂肪酸・アミノ酸の解析
・研究で明かされたコイの機能性成分
・コイの期待される効用・健康効果とは?
◆まとめ
・・・つづく